VOL.50 獣医の日記

現在脚の治療をしているマーコールの子どもがおり、親子で室内に隔離されています。 5 月に生まれ、元気に育っているように見えたのですが、6 月に左の後肢を引きずり始めました。ジャンプなどで痛めたのと少し様子が異なります。骨に異常はなく、炎症を抑える薬なども効かず、原因は不明ですが、踵から下の血流が止まっていることがわかりました。血液の行かなくなった組織は死んでいき、元には戻りません。そのままにしておくと全身に影響が出る恐れもあります。命を助けるなら、足を切り離すしかありません。 3 本足になったマーコールが動物園の中でとはいえ生きていけるのか?犬や猫では手術で3本足になることはそこまで珍しくなく、術後も健やかに過ごせますが、マーコールは山を飛び跳ねます。じっくり議論したいところですが、話し合っている時間が長くなれば本人の状態はどんどん悪くなります。短い時間で検討し、若くて体重の少ない今なら残った3本足でも耐え、適応して生きていけると考え、足の切断手術に踏み切りました。 はたして、手術翌日にはしっかり3本足で立ち上がって走り出し、今ではジャンプもします。まだ治療は続いており、外に出られるまで少し時間がかかりそうですが、ゆっくり見守りながら慣らしていくことで適応できるのではないかと思います。

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